memo
昔々世間にまだまだ兎角不可思議なることの間々在りし頃
或る処に子豚の三兄弟あり
この三兄弟以前狼に襲われし折
長兄は藁の小屋にて吹き飛ばされ命のみ持て逃げ出し
次兄は木の小屋にて燻し出され命のみ持て逃げ出し
三男のつくりし煉瓦の小屋にて三者とも難を逃れたり
而してひとつ屋根の下暮らしはじめた三兄弟
子豚でありし日は首尾好く三匹暮らせたものであったが
ひとひひとひを経るにつれ太りはじめ
やがて煉瓦の小屋には唯一匹のみしか暮らせなくなり申した
長兄申して曰く
「藁の小屋にて狼に備えようとしたことからも明らかなりしが
我の能力生まれながらに低く到底そなたたちには及ばぬ
そなたらに哀れみの心ありなばこれが煉瓦屋は我が物とすべし」
次兄申して曰く
「兄上の仰ることも尤もであるが
我管理維持能力に秀でること明々にして
これが屋を我が物とするが最も有用なり」
三男申して曰く
「いやいやお二方よくよく考えてもみられよ
畢竟するにこれが屋は我がつくりしものなりて
我がものとするは至極当然の理なり」
狼これを聞きて曰く
「さてもさても面白きことかな
長兄の申すところは公正の義ありてロールズに通ず
次兄の申すところは功利の義ありてベンサム或いはミルに通ず
三男の申すところは権利の義あるリバタリアニズムなり
しかるに我が腹にすべての義をおさめるこそ好き計らいぞ」
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